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2.26事件と株価

2.26事件の日ですね。
渋谷のNHK前、渋谷区合同庁舎の一角に、ある慰霊碑が立っています。
この場所は旧陸軍刑務所敷地、そして慰霊碑が立っているのは2.26事件で死刑となった19人がまさに銃殺された場所であったとされます。

この記事を書いている令和4年の2月26日、東京の予想最高気温は13℃。
2.26事件の起きた昭和11年(1936年)のこの日は最低気温が−2.2℃、最高気温が−0.3℃、一日を通しての平均気温が−1.3℃だったそうですから、地球温暖化でずいぶん暖かくなったもんです。

ここで2.26事件について少し触れてみたいと思います。

この日早朝、青年将校に率いられた約1,500人の陸軍兵士が軍事クーデターを企てて政府要人を殺害、永田町界隈の政府主要施設を襲撃して占拠した事件です。
これを契機に軍の発言力が増して太平洋戦争へと突き進んだというのがよくある説明ですが… 一応あなたも学校で習ったはずです。
昔のことだし、現代の人たちにはどうでもいいことですよね。

私のようなマニアくらいしか知らないでしょうが、実際のところ近年の調査で明らかになったところでは、

・青年将校たちの企てを利用して、陸軍上層部のある一派が、ちゃっかり密かに自分たちの政権を作ろうとした。
・その一派はいろいろ裏工作したんだけど、青年将校たちの行動は天皇陛下に認めてもらえず思惑が外れてしまった。
・一派はこれはまずい、とハシゴを外して青年将校たちを裏切り、鎮圧側に寝返り。
・裏工作がバレてはまずいので、もみ消すためにさっさと青年将校たちを死刑にして自分たちは何食わぬ顔。

というお話です。

さっぱりわかりませんよね? 私もそう思います。
マニアしかわからないお話です。はい。

あなたが一番不思議に思うのは、どうして毎年この日になるとニュースやらでこの事件がとり上げられるの? ってことですよね。

それは、
この事件をきっかけにして「少しでも軍にタテつくような態度すると殺されるかも知れない」という恐怖が政治家や財界に広がって、軍のやることに口出しできない、軍はやりたい放題できるようになった、ってことです。

どうでもいけど。 で、これがどうして株と関係あるの?

ということなんですが、少し関係あるんですよ。

この事件が勃発して東京に戒厳令が敷かれます。
東京証券取引所は立ち会い停止。3月10日まで取引が中止されたんです。

事件が一件落着して立ち会いが再開されたものの株式市場は大暴落。

ところがこの大暴落で、ある人物が当時のお金で500円(現在でいうと約50億円)という莫大な利益を上げます。
その人物こそが現在のヤマタネ(東証1部 倉庫業 銘柄コード9305)、そしてSMBC日興証券のルーツとなった山種証券の創業者、山崎種二なんですよ。

その投資行動をみると、過去記事でご紹介してきた相場の格言をちゃんと実行してるんですよね。
常に先を読んで、他の投資家と逆のことをしているわけです。

実は2.26事件後の暴落の前、山崎種二は大ピンチにさらされていました。

前年勃発したイタリア−エチオピア戦争で「遠くの戦争は買い」と市場では株価が上昇しました。その過熱ぶりを見て彼は空売りを仕掛けます。
ところが山一證券がこれに買いで徹底抗戦、彼は踏み上がった株価で追証がかかってしまって、全財産を失う寸前まで追い込まれたんです。

そんなときに起きたのが2.26事件で、その後の大暴落で買い戻し莫大な利益をあげた、というお話です。

人のやることと反対に行動する、それがツキを呼び込むんですね。

運をも味方につけた、そんな逸話でした。

 

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