株指南

投資のテクニック⑤ 加重平均とVWAP

リアルタイム株価のところに出てくるVWAPってなんですか?

これも説明していませんでしたね。
今日はこの話にしましょうか。

私がよくお世話になっている「吉野家」の現在株価情報画面で見てみましょう。

 

右下にVWAPが表示されていますね。リアルタイムで動いています。

あ、ちなみに… 吉野家もホールディングスになっているので(※「ホールディングス」については過去記事【ホールディングス】参照)、どんな企業が支配下にあるかというと…
うどんの「はなまる」なんですよ。その他は広島のラーメンチェーンや吉野家の海外事業です。

話を戻しましょう。
私はあまり使いませんが、機関投資家がAIを使って自動指値注文を入れてくるときはこのVWAPの価格を使うといわれています。
VWAPというのは "Volume Weighted Average Price" の略で、 日本語では「売買高加重平均価格」と訳します。

これからVWAPとはなにか、どんな時に使うのかを説明しようと思いますが、その説明の前に「加重平均」のお話をしておきましょう。
これまでの記事の中でも加重平均という言葉は何気なく使ってきたんですけれども、簡単に説明しますね。

あなたがスーパーに行って、100円のチョコと130円のおにぎりと160円のスナック菓子を購入したとしますね。

この場合の単純平均は、
(100+130+160)÷3=130円
ですよね。

では100円のチョコ3つ、130円のおにぎり5個、160円のスナック菓子2袋、計10点の商品を買ったときはどうでしょうか。

この支出における商品1点あたりの値段はいくらか計算すると、
(100×3+130×5+160×2)÷10=127円
となります。これが加重平均です。

ここまで大丈夫ですね?

この加重平均の計算要領で、株価とおのおのの値段での出来高(その値段で売買が成立した株数)で加重平均値を求めたのがVWAPなんですね。

計算が大変だと思うかも知れませんが、上の計算だと、

・(100×3+130×5+160×2)が総支払代金、つまり上の株価情報画面でいうと「売買代金」にあたります。
・商品点数の(3+5+2)=10 は株価情報画面でいうと「出来高」にあたります。

ですからその時点の売買代金を出来高で割ればいいだけなんです。
ためしに上の画面で計算してみてください。
売買代金813,777(千円)を出来高332,400(株)で割るとちゃんとVWAPの2,448.1865(円)という数字になります。

さて…これでVWAPの数字がどんなものかはわかったとして、じゃあどういう意味があるのか、どんな時に使うのかということですね。

これはスーパーの例を思い出してもらえばわかるように、
「この株を買った人全員の平均取得単価」つまりみんな平均いくらで買ったかという値段なんです。
その日その時点でのみんなの平均値、という意味になります。

株価は常に動いていますしVWAPはその平均ですから、当然株価のほうが先に動きます。
そうすると一時的に株価がVWAPを上回ったり、逆に下回ったりしますね。

株価 > VWAP ならみんなの買った値段よりも株価が高いですから買った人は利益が出ている。
株価 < VWAP ならみんなの買った値段よりも株価が低いですから買った人は損が出ている。

ということをあらわします。
このタイミングを狙って機関投資家がVWAP価格で指値注文を入れてくるわけですね。

もちろん動きみながらいちいちトレーダーが注文入れてくるわけではないです。
AIを使って自動で指値注文が入るようなアルゴリズム取引です。
取引所(株式市場)を通しても行われますが、最近は取引所を通さずにVWAP取引といって機関投資家と証券会社が直接取り引きする形態も広がっています。

でも冒頭で書いたように、実際に個人投資家が活用できるかというと「?」です。
ですが板気配(※「板気配」については過去記事【板気配】参照)を見ながら買い注文の指値を入れるときに、VWAPよりも株価が上に離れている場合などは、その値段で指値をしたり成行で買いに行くと実勢よりも高い値段で買ってしまうことになりますので、参考にはなると思います。

どんなものかおわかりいただけましたか?

次回はこのVWAPが少し関係するお話をしようと思います。

では、今日はこれで終わりましょう。

 

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