株レポート

ウクライナ情勢とロシア市場

ウクライナとロシアの軍事衝突が始まりました。

これを受けてMOEX ( Moscow Exchange :モスクワ取引所) は2月24日の株、債券、通貨などの全取引の一時停止を発表

 

 

約2時間後に再開されましたが、

 

 

 

ロシア株指標であるRTS、MOEX.MEは下げ止まる気配がなく、特にRTSはわずか数日で約半値となりました。
(上がRTS、下がMOEX.ME)

RTS

 

MOEX.ME

 

ここであげた2つの指数はロシアの代表的な株価指数ですが、そのうちRTSというのは時価総額に連動する指数で、時価総額が大きく流動性の高い43銘柄で構成されています。東証でいうとMOEX.MEが日経225、RTSがTOPIX、というイメージでしょうか。

今日はこのロシア株の行方について、下げた要因と今後の展開について考えていきたいと思います。

結論的には、こうした下げというのは意外に早く修正されるのではと推測しています。
過去にはアジア通貨危機などで新興国市場が大きく売られたケースが何度もありますが、その発端は違うというものの資金構造的には同じで、ショック安のあとの回復は早く、この下げも長期化する可能性は低いと考えています。

今回の下げは、国内投資家の売りもあったでしょうが、それよりもむしろ海外からの資金が逃避した(引き揚げた)という要因のほうが大きいと思うんですね。
野村證券だけでなく証券各社ともロシア株を組み入れた投資信託は数多く発行しています。
当然リスク回避で投資家の換金売りが膨らめば間接的にロシア株の下落要因になりますし、それは日本に限ったことではないですから、世界各国からの資金がロシア株式市場から大量に流失したと思います。

もしかしたら制裁的な売りもあったのでは… と少し勘ぐっています。

私がロシア株式市場が早期に回復すると考える根拠というのは、

・モスクワ取引所の時価総額は、今年2月の一番新しいデータによると201.33兆ルーブル(約271兆)で、通貨危機の時のアジア市場のように脆弱ではない。
・経済制裁はあるにしても、その内容を見る限りロシア経済に大きな打撃を与えるものではないし、影響は軽微ではないか。
・一時的に換金売りでキャッシュポジションを上げたとしても、投資方針上ロシア株をに組み入れている以上、また買い出動せざるを得ない。
・ファンドマネージャーの投資パフォーマンスの面から考えても、ファンダメンタルズに大きな変化がない以上ポートフォリオからロシア資産を外すとは考えられない。

などなど、です。

RTS連動のETFが東証に上場していますので動きを見てみましょうか。
銘柄コード 1324 ロシア株式指数・RTS連動型上場投信 がそれです。(タイムラグや為替などの要因があるのでRTSの動きそのままは連動していません)

 

出来高を見てください。これだけの投げ売りが出たわけです。
モスクワ市場がスタートするのが東京市場が取引を終える日本時間15:00。
2月24日はこの売りがそのままモスクワ市場に持ち込まれて構成銘柄が売られたわけですね。(市場規模を考えればこのETF単体の影響は軽微だと思いますが)
売り買い交錯して少し時間的調整は必要かと思いますが、上記のように早晩回復基調をたどる前提でこのETFの動きを注視したいと思います。

さて、もう少し付け加えてみたいと思います。
湾岸戦争のケースです。

過去記事でも書きましたがもう一度。

イラクが突然クウェートに攻め入ったのが1990年8月2日。この月の終値30245.18円。翌日730円安。
湾岸戦争が始まったのが1991年1月17日。終値23,446.81円。翌日361円高。
停戦発表が1ヶ月後の2月27日。終値25986.69円。

1990年はバブルがはじけて前年終値38,915円から約15,000円下落した年ですので単純に比較できませんが、結果的には湾岸戦争そのものによる株価への影響というのは限定的でした。

戦争が始まるか、始まらないかというのは注目されますが、始まってしまったらその内容など知る由もないわけです。
今回のウクライナ情勢も同様だと思いますね。

さて、「遠くの戦争は買い」と言われていますが、日経平均チャートを眺めていても、そろそろ打診買い、買い戻しが入る水準まで下げてきていますので、あまり悲観的に考えずに、チャンスを伺う時期に来ていると思います。

ウクライナ情勢はこれからも状況に応じて記事にしていきますね。

では。

 

-株レポート
-, , , , ,