株レポート

急落 − その後の株価動向について

ウクライナ侵攻をきっかけとして世界の株価が急落しました。
当日はヨーロッパ各国は軒並み3%から4%の下げ、東京とNYも2%を超えました。
当事国であるロシアは約40%の下落でした。

こうした世界同時株安というのは珍しいことではなく、これまでに私たちは何度も経験しています。
直近では一昨年のコロナショックによる同時株安ですかね。

私が証券会社在籍中でもあのブラックマンデーや湾岸戦争、その後はアジア通貨危機、イラク戦争、9.11事件、リーマンショック、ギリシャショックなど、度重なる「ショック安」を経験しつつも株価水準はその時を上回っているんですね。

ここで2020年のコロナショック時の各国の動きを確認してみましょう。コロナショックは2020年2月から始まっています。

東京

ニューヨーク

ロンドン

フランクフルト

香港

シンガポール

韓国

インド

 

いずれもコロナショック前の株価を上回っていることがわかりますよね。

今、国内の新規感染者数が数万人でも、何ごともなかったかのように街には人が溢れていますが、あの当時というのは一人でも感染者が出たら大騒ぎでした。
しかしショック安の引き金となった事件というのはいつまでも放置されるわけではなくて、時間をかけてでも修復し、解決に向かっていきます。
コロナもそうですよね。あの当時は飲み薬なんてはるか先と考えられていました。

コロナも含めた世界的なショック安から各国の株式市場がなぜ立ち直ることができたのか、これまでの経験から学んだことは

・世界各国が協調して事件の対策にあたる。
・過去の暴落の教訓から、各国とも金融政策・財政政策など迅速かつ的確な処置で混乱を防いでいる。
・経済指標に多少の悪化があっても、各国のファンダメンタルズには根本的な変化はない。
・金融マーケットはファンダメンタルズに関わりなく拡大していて、常に資金が循環している。

ということがあげられると思います。

個人投資家の場合は「休む」ことができますよね。ところがマーケットシェアの大半を占める海外投資家や機関投資家の巨額な資金というのは、「休むことを許されないない資金」ですから、よほどファンダメンタルズに問題がないかぎり安いところがあれば必ず買い戻しに来ますし、高いところがあれば売ってきます。
巨額の資金が常に世界中を駆け巡っているわけですから、ショック安という一時的な急落は彼らにとって絶好の買い場なんだと思います。

じゃあ日本が1989年の史上最高値を更新できないのはなぜなんだ、NYは史上最高値を更新しただろう、と思われるかも知れませんが、それは単に日本のファンダメンタルズが評価されていないというそれだけの理由です。

ショック安というのは単にテクニカル面からの下げですから(売る人 > 買う人 )、心理的不安が消えればすぐ戻ります。
しかしバブル崩壊後の日本経済というのはいまだにデフレが続いていて、バブルを知る人にとっては「いざなぎ景気超えの成長」と言われてもピンとこないはずです。
アベノミクスによる株価上昇も日銀の政策による「ハリボテ」に近いわけですから。(まあ、上がってみんな喜んだんで、それは良しとしましょう。)

世界の投資家は日本のマーケットをちゃんと冷静に見ているんですね。

さてこれを踏まえて考えると、今回のウクライナ侵攻もまだくすぶる部分はありますが、回復に向かっていくと考えていいでしょう。
少し日数は必要だと思いますけれども。

ただ一定水準戻ったところからは、こんどはファンダメンタルズ勝負になると思います。
国ごとに戻りの度合いに差が出てくるんじゃないでしょうかね。

東京も30,000円を狙うにはまだしんどいと思いますね。しばらく時間が必要だと考えます。

今は企業業績をしっかり見極める時期ではないかと思う次第。

では、今日はこれで終わりましょう。

 

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