株指南

信用取引ってなんだ? ⑧ 信用取引と株式市場 − 期日売り

これまでは信用取引のしくみやルール、取引の始め方、気をつけなくてはいけないこと、などをお話ししてきました。
今日からはこうした信用取引のルールがいったい株式市場にどんな影響を与えるのか、何回かに分けてお話ししていこうと思います。

今日は「期日売り」についてです。

期日売りというのは、買い建玉の返済期日が迫ってきたタイミングで、現引きせずに返済(損切り)する売りのことをいいます。
一般信用取引の返済期日は証券会社によって異なりますから、ここでは制度信用取引(返済期限6ヶ月)としてお話ししますね。
返済期日についての定めは過去記事【 信用取引ってなんだ? ① 基本のしくみ−新規建てと決済 】【 信用取引ってなんだ? ② 基本のしくみ−買建て編 】で書いていますので、取引方法によってどう違うのかはそちらをご覧ください。

信用取引は短期取引が基本なわけですが、それゆえ株価の上昇局面に飛び乗ることは多くなります。ですから

・すぐ売っていれば利益になったんだけれども、もっと上がると思って待ってみたらあっという間に買値を下回ってしまった。
・上昇局面でうまく利益を上げられたので、まだ上がると思ってもう一回買ってみたら高値をつかんでしまった。

という危険は常について回ります。
こういう場合は潔く損切りして撤収するのが一番なのですが、現実はなかなか損切りできずに気がついたら期日は目前、なんていうのはよくある話です。

では株価はどう動くでしょうか。

前回記事で追証と株価の関係についてお話しした際、追証が発生すると出来高を伴って急落することがある(セリング・クライマックス)、というお話をしましたね。
経験上、期日売りではここまでの下げはないです。
しかし期日を迎えた人は(現引きしない限り)売らなくてはいけませんからある程度は売りがまとまります。株価の下落要因になることは確かです。

期日売りの場合も追証の場合も、買うときは高値近辺で飛び乗りするという点では変わりはないのですが、期日売りの場合は6ヶ月という期間がある分、期日が近づくとタイミングを見計らって売却を始める動きが現れます。ですので下げも比較的ゆるやかです。
ところが追証の場合は同じタイミングで多くの方が窮地に追い込まれる。追証払うか損切りするかの決断を少なくとも翌日にはしなければいけないわけですからね。

また期日前であっても、少しでも戻れば買建てで高値をつかんだ人の売りは出やすくなります。
実際、出来高を伴って急騰する銘柄のその後を観察すると、再度出来高が増えて上がる場面があっても、最初の高値を越せないケースをよく見かけます。

買う人 > 売る人 株価は上がる
売る人 > 買う人 株価は下がる

ですよね。
ですから最初の高値をつけに行ったとき以上の出来高を伴わないとなかなか最初の高値は抜けないんです。

「6ヶ月あればなんとかなるだろう」

ならないんですよ。 ちゃんとこういう理由があるんですから。

しかしこう考えると、結局期日まで持ち越してもいいことはないですね。
損をせずに救われるケースというのはごく稀と考えてください。

では、今日はこれで終わりましょう。

 

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