株指南

IPO銘柄は儲かるのか? ③

いいかげんIPOの申し込み方を教えて下さい。

はい、前置きが長くてすみません。
さっそくご説明します。

企業が上場する際、株を発行して増資を行い、その一部を一般投資家向けに募集するプロセスは、前回記事【 IPO銘柄は儲かるのか? ② 】でご説明したとおりですが、実際この投資家枠、つまりIPOを買うことのできる枠というのは非常に少ないです。

参考までに、令和4年3月28日上場予定の [ 株式会社メンタルヘルステクノロジーズ ] の場合、募集株数は50,000株です。(申込単位100株)
全国で500人、というわけですね。

ではあなたが申し込む際の手順を説明していきましょう。

①仮条件の決定。
②ブックビルディングに参加・申込。
③抽選・抽選結果の確認。
④購入代金の入金。
⑤購入意思の表明。
⑥上場・売買開始。

①仮条件の決定
前回記事で書いたとおり、企業は機関投資家(金融機関)などのヒアリングを経て、ブックビルディングの仮条件を決定します。
ここからスタートです。

たとえば、2019年に上場した名刺管理の「Sansan:サンサン」は、

・名刺管理という新たな市場を切り開いたこと。
・Sansan事業に対する潜在需要が大きく、成長が見込まれる。
・売上拡大のため人材の育成が必要。

という高い評価を受けて「4,000円〜4,500円」という高い価格で仮条件が決まりました。

②ブックビルディングに参加・申込。

証券会社に口座がなければまず口座を開設します。

証券会社に目論見書(もくろみしょ)が置いてありますので、必ず確認するようにしてください。
企業の内容はどうなっているか、新規公開にあたり集めたお金をどう使うのか、投資判断に必要な情報はこの目論見書に記載されています。

申込みは希望株数、希望価格を入力します。希望価格はすでに決まっている仮条件の価格の範囲で購入したい価格で申込みます。
いまは例外なく上限価格で決定していますので、上限価格より安い値段で申し込んでも当たらない状態です。
また価格の判断が難しければ、「ストライクプライス」といって価格問わず購入しますよ、という意思表示だけをする方法もあります。
ブックビルディングの期間は5日〜1週間です。

ブックビルディングはこのプロセスを通して需要予測をします。

この状況に応じて、オーバーアロットメントといって、幹事証券会社がいわば「予備」として売り出す株を持っています。
ブックビルディングなどの状況を見て、この予備分から別枠で募集するんですね。(需要を見て、減らしたり、しないこともあります。)
先ほどのSansanの場合は、幹事証券会社が創業者の持ち株を借りて、オーバーアロットメントの売出しに備えました。

さあ、あとは抽選結果を待つのみです。

③抽選

多くの証券会社ではブックビルディングの申込みの際に入金を求めています。野村證券などのように抽選で当たってから入金をすればよい証券会社もあるので、事前に確認してくださいね。

抽選は販売する証券会社ごとです。どの証券会社がいいか、当たりやすいのかという情報がネットでも出ていますが、抽選方法は引き受ける証券会社によるのでなんとも言えません。大口投資家を優先する方法もあったりしますが、野村證券の場合はネット申し込み分は完全公平な抽選とされています。

抽選結果は、当選、落選、補欠当選 の3種類です。
当選者が辞退すれば補欠当選の方にもチャンスがまわってきますが、IPO人気の最中で辞退者がどれくらい出るものか…

④購入代金の入金

上で書いたとおり、当たった場合に入金する場合と抽選前に入金を求められる場合がありますので、証券会社で確認をお願いします。

⑤購入意思の表明

最後に購入意思の確認が行われます。
放っておくと辞退とみなされる証券会社もありますのでこれも確認してくださいね。

⑥上場・売買開始

あなたもいくらで初値がつくか興味津々だと思いますが、これも様々なパターンがあります。
非常に高い値段が付いて上場初値近辺が高値になるケースもあれば、募集価格を少し上回る程度の値段からスタートして、その後買われて上昇するというパターンもあります。

これは一にも二にも前回記事でご説明した、上場をきっかけとした「企業の成長力」「成長の可能性」を見ないといけません。
せっかく手にしたIPOですから、利益が出れば一旦は売っても良いと思いますが、場合によってはIPOを持ったままで上場早々を買い増しに行くこともアリだと思います。

いずれにしても、IPOを単なる儲けの道具と思うんじゃなくて(そうしてるのは証券会社かも知れないですね。ネット見てるとそう感じます。)、企業価値をしっかり判断してほしいものです。

結構手続き簡単ですよね?

各証券会社のサイトで直近ブックビルディングが行われたもの、これから行われるもの、全て出ていますので、当たらなくてもその後どうなったかはよく見ておくべきでしょう。

では、IPOについてはこれで終わります。

 

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