株指南

投資信託のお話 その二

さて、では投資信託について説明していきましょう。

投資信託は「信」じて「託」して「投資する」金融商品です。

あなたが預けたお金は他の投資家のお金と一緒になり、「信託財産」として投資家の代わりにファンドマネージャーが運用します。
商品によって

・株を中心に投資するのか、国債などの債券を中心に運用するのか。
・日本の市場のみを対象とするのか、外国の市場も含むのか。
・為替リスクがあるのか、ないのか。
・海外市場は主要国だけでなく新興国も含むのか。
・日経平均などの指数に連動するタイプか、個別銘柄で運用するタイプか。

に分かれていて、これらの組み合わせで商品を選びます。

(一社)投資信託協会によると、令和3年(2021年)12月末現在で、株を組み入れた投資信託の数は

・単位型(前回記事で書いた満期貯蓄型)  101本
・追加型(いつでも買って売れるタイブ) 5,514本(ETFを除く。一定期間換金できないものもあります。)
*ETFも一応投資信託ですが株としての正確が強いのでここでは除外します。212本あります。

この合計5,615本の投資信託にどれだけの金額が集まっているかというと、なんと約87兆6,000億円なんですよ。
ETFを加えると、なんとなんと149兆5,000億円。
東証1部市場の時価総額が約700兆円ですから、いかに大きいかがわかりますよね。
外国や債券にも投資しますからすべてが日本の株式市場に流れているわけではありませんが、こうした資金が株式市場を下支えしている側面はあると思います。

ではあなたが購入した投資信託のお金がどのように運用されるのかを見ていきましょう。

◯お金の流れ

証券会社(募集窓口)ー 運用会社(実際の運用)ー 信託銀行(信託財産の管理)

という役割分担になっています。

あなたが証券会社で購入したお金は、他の投資家から集めたお金と一緒になってひとつの「信託財産」になります。
これは投資信託の商品ごとに独立しています。

その信託財産は信託銀行に預けられて、信託銀行が管理します。
その信託財産を運用会社(大手証券会社の関連会社などです)のファンドマネージャーが、その商品にうたった投資方針に基づいて株や債券を購入していきます。

ファンドマネージャーがここから売り買いの指図をして運用していくわけですね。腕の見せ所です。
もちろん市場環境にも左右されますが、投資信託のパフォーマンス=ファンドマネージャーの運用成績 です。
ですから必死になるわけですよ。
人と同じことをしていては人よりいいパフォーマンスは上げられませんからね。私なら抜け駆けしてコソッと人に見つからないように銘柄探しますねえ。

また信託銀行に預けられた信託財産は信託銀行の資産とは別枠で管理されますので、万一信託銀行が破綻しても影響はありません。

◯いざ、運用

すでに書いたように、5,600本あまりの投資信託商品はそれぞれ中身が違います。

それぞれの中身というのは商品ごとに

・株と債券のおおよその配分比率
・銘柄選定の方針
・各国へのおおよその分散比率
・リスクヘッジの方法(先物、オプションなど)

が決まっています。

あなたが自分の好みのタイブの商品を探す際は、これらの項目について詳しい中身まで知ることができます。
ちゃんと透明性が確保されているんですね。

あなたの側から見た商品選びの切り口としては、値上がりを重視するか、安定性を重視するか、という選択肢があります。
想像つくと思いますが、前者は株式中心で積極的に値上がりをとりに行く、海外市場であれば新興国に投資して大きな成長を狙う、という投資方針でしょうし、後者であれば債券の比率を高くしたり、先物でヘッジしたりしてリスクを極力排除します。
当然前者はリスクも大きいですが、リターンも期待できます。後者はその逆ですね。

ここで先物を使ったリスクヘッジについて簡単な例を上げておきますね。実際の運用はもっと複雑ですがざっくりと。

購入した現物株が上昇して組み込んだ日本株の時価評価が上がったら、そこで日経平均の先物を空売りする。そうすると理論上は利益が確定しますし、もし下がって現物株に評価損ができても先物の空売り分を買い戻せば利益になりますから、結果損を出さなくてもすむことになります。
積極型でも先物は使いますが、このようにして常にリスクヘッジしながらパフォーマンスを上げる努力をしています。
(先物についてはまた機会をあらためて記事書きます)

また一定期間換金できないタイプのものを除いては、利益が出れば投資家は換金しますので、その場合に備えて常に一定割合現金比率を維持します。
お腹いっぱい買ってしまうことはありません。
また相場が下落に向かうと考えれば一旦売却してキャッシュポジション(現金比率)をあげます。
ファンドマネージャーはこのように限られた信託財産を臨機応変に運用するわけです。

◯運用成果は公表されます。

運用している投資信託の信託財産の評価額(純資産額)がいくらになっているか、市場の動きで増えたのか減ったのかーは毎日「基準価格」として公表されます。(当日夜、または翌日更新。)
この基準価格がこの投資信託の毎日の値段です。株価と同じです。毎日変動します。

また商品により異なりますが、最低年1回、最大年12回決算を行って、運用成績に応じて分配金がもらえます。
これはその都度もらってもいいですし、もらわずにその分自動購入する(銀行の複利と一緒ですね)こともできます。選択できます。
過去記事【株売買にかかる税金を知ろう】【NISAとは】で登場した「投資信託の分配金」というのがこれです。
投資信託によっては年に何度も決算を行って都度収益金を分配します。毎月分配するタイプは毎月決算ですね。

ファンドマネージャーにしてみると、一年間の通知表、といったところでしょうか。

さて、これが大まかな投資信託のしくみです。

細かいしくみを覚える必要はないです。
投資信託がどのように運用されているのかをざっくり把握していただけたら、それで十分だと思います。

どうでしょうか、なんとなくわかりましたかね。

さて、今日はこのへんで終わりましょう。

次回は実際にどうやって投資信託を購入するのか、またその注意点などに触れていきたいと思います。

では。

 

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