株指南

板気配

1円でも安く買いたいんだけど、他の投資家の注文とか見れないの?

見れますよ。
口座を作ってログインすればスマホアプリでもパソコンのサイトでも見られます。
「気配」ってやつ。

今の時代、便利になったもんだとつくづく感じるのがこの「板気配」です。単に「板」と呼ぶこともあります。
リアルタイムでその動きが見られるというのもビックリですが、一般投資家がこれを当たり前に見て注文出すなんて…私の証券会社時代は考えられないことでした。

まずはどんなものか見てみましょう。
証券会社のアプリやサイトによってデザインや見え方は違うと思いますが、中身は全く同じです。

 

 

これは令和4年2月14日、三菱UFJフィナンシャルグループの取引終了時点の板気配です。
終値は753.7円でした。

余談になりますが、昔は今のように売買注文がコンピューター処理ではありませんでした。(一部はシステム銘柄といってコンピューター処理されてましたけども。)
取引所の各証券会社ブースに届いた注文を、場立ちと呼ばれる社員がその注文を処理する場所(1番ポスト、2番ポスト…)に持っていって、各ポストでそこに集まった注文を「人力で」値付け処理していました。
なのでこの板気配を知ろうと思うと、支店から取引所へのホットライン(場電)で電話して「板読んでくれ」と頼まないとわかりませんでした。
当然… 取引所から返事が返ってくるのは早くて数分後。 その時点ではもう板気配は変わってしまいますよね。

まず見方です
成行注文と指値注文については以前の記事でお話ししました。
ここに表示されているのは全国から集まってきた注文で、真ん中には気配値(株価のこと)が表示されます。

各気配値に買い指値が何株入っているか(右側)、各気配値に売り指値が何株入っているか(左側)

を表示しているわけです。

取引所の注文は、
・成行が指値よりも優先される。
・指値は、買いなら高い方、売りなら低い方が優先される。
・同じ指値注文なら時間の早い注文が優先される。
というルールがあります。

今この状態で成行買い注文を出すと、753.8円の売り注文にぶつかりますので、753.8円で買えることになります。
売り注文を出すと752.7円の買い注文にぶつかりますから、752.7円で売れることになります。
ただし752.7円の買い注文は1,300株しかありませんから、仮に10,000株の成行売り注文を出すと、10,000株のうち1,300株が752.7円、残り8,700株が752.6円で成立することになります。
現在値も752.6円になりますね。

また752.6円で2,000株買い注文を出していたとしましょう。仮に752.6円の値段がついたとしても、買えるとは限りません。
同じ752.6円であなたよりも先に注文した人がいれば、その方の注文が優先されるからです。
このように値段が決まる(値段が動く)んですね。
ちなみに朝の取引開始時点では、成行と指値を合わせて、売り注文の株数と買い注文の株数が折り合う値段で始値が決まります。

売買の多い株は上の気配値から下の気配値まで売り買いとも大量の株数が並び、活発にこの板気配が変化していきます。
見ていて楽しいですが、見ているだけで午前の取引が終わってしまった、なんてこともしばしばあります。

この三菱UFJ FGのように売り買いとも多くの注文が入っている状態を「板が厚い」と言います。
逆に売買の少ない株は気配値に売り買いとも僅かな株数しか指値が入っていません。これを「板が薄い」と言います。

私もこの板を見ながらいくらで指値をしたらいいかを決めていますので、あなたも注文を出す際には、他の投資家がどのような動きをしている確認してみると良いでしょう。

いかがですか?

実際に動きを見ないとどんなものかわからないと思いますが、証券会社に口座を作れば誰でも見られますので、是非参考にしてください。

最後にこの板を読む際の注意点です。

株価の上昇局面で売買高が多いときによくあるパターンですが、
売り板(左側)の各気配値に大量の売り指値が入っている一方で、買い板(右側)は注文株数も少なくスカスカ、という現象。

普通は「これだけ売り注文が入っているし、この売りをこなして上がるのは厳しいんじゃないか、逆に買い注文がほとんどないから少しの成行売り注文で下がってしまうんではないか」
そう考えますが、実は逆です。

力強く上昇していく局面では、そんな大量の売りもいともあっさり吸収して上がっていくケースが多いです。

逆に売りが少なく、大量の買い注文が各気配値にびっちり並んでいる場合。

普通は「これだけ買い注文が入っていたらそう簡単に下がらないんじゃないか」と考えます。特にその株を持ってる人は下がってほしくないからなおさらですよね。・
残念ながら下げ局面では「あっさりと買い注文分を吸収して」真っ逆さまに下がっていくケースが多いです。

板気配を使って注文する際でも、まずは中期的な見通し、シナリオを考えることが前提ですからね。
この板気配を使うのは最終局面とお考えください。

では、今日はこれで終わりましょう。

 

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