株指南

銘柄コードと業種 ⑦ 水産・農林業

少し前ですがこんなニュースがありました。
( NHK NEWS WEB 「 ”アジフライの聖地”にパン粉付きアジの自動販売機 長崎 松浦」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220303/amp/k10013510891000.html

 

長崎県の松浦市に冷凍アジフライの自動販売機が設置されたというニュースです。

ニュースによると、松浦市は全国有数のアジ水揚げ量を誇っていて、「アジフライの聖地」を宣言してまちをあげてPRしているんだとか。
魚市場の売店で販売している商品を、市場が休日の日でも買えるように自販機を設置したのだそうですが、驚きなのはその値段の安さ!

長崎新聞社によると、
(長崎新聞Webサイト「『聖地』のアジフライ、24時間どうぞ 松浦市に自販機 ”初登場” 」 https://nordot.app/871555810333802496
アジフライ8枚入りで700円(安い。安すぎる‼)、さばみりん2枚で600円。ほかに銀だらみりん、サバ白たまり干し、いかしゅうまいもあるそうな。
設置した会社は福岡市が本社ですが、福岡市最大の繁華街・天神の地下鉄構内にも設置計画があるそうです。ウラヤマシイ…

ということで、今日の業種別分析は水産・農林業です。

かつて私は関連ギョーカイに身を置いていたこともあり、やれサンマの水揚げが減ったとか、大衆魚のイワシが今や高級魚になってしまったとかいうニュースはとても他人事とは思えないんですよ。
スーパーに行ったら「魚へん」のつくものはすべからく高いし、魚離れも進んでいます。消費量も減っていますよね。
まあ生臭いとかゴミの処理とか、マンションで魚焼く煙を出せないとか、魚が敬遠されるのにはいろいろ原因があるんですけれども…

話のついでに書いておくと…
「骨なし魚」ってのが多くなってますよね。漁港の加工場なんかでせっせと骨取るわけですが、こうした鮮度の高い間に処理する分にはまだいいほうです。
冷凍食品で売っているものの多くはどういう加工をするかというと、海外からの輸入魚を一旦解凍 → さばく → 骨を取る→ 結着剤を使って元の姿に復元 → 冷凍 というプロセスです。
今はどうかわかりませんが、私が骨なし魚を加工している工場を見に行ったときはこんなんでしたね。
もともと介護施設などにニーズがあって作り始めたんだそうです。それが学校給食に広がって、一般に知られるようになったと話していました。

さて、では本題を始めましょう。

今の原油高は水産業界全般にとってかなりの逆風です。なにしろ燃料が高騰して漁に出ても採算合いませんからね。
コロナで家庭用加工品は伸びたようですが、外食向けがダメですからね。市場規模も縮小しています。
農林水産省のデータだと、生産量は2006年が559.2万トン、2020年は417万トン。ずっと減り続けています。
ちなみにピークは1984年の1,282万トンですから、今はその3分の1。どれだけ日本人の食生活が変化したかわかりますね。

水産業界の売上高はほぼ横ばいです。2020年度の市場規模(主要各社の売上高合計)は約2兆4,000億円くらい。
これからみてもわかるように、成長率はマイナス予測です。

農林業はどうかというと、上場している会社自体が少ないのですべてがそうだといい切れるわけではないのですが、最近は業界の高齢化や担い手不足が転じて農業イノベーションがすすんんでいますよね。
品種改良や新規事業の立ち上げなど産学共同の取り組みも目立ちます。
水産業に比べればまだまだビジネスチャンスはあると思いますが、株式市場はコロナの「巣ごもり特需」がなくなったことを懸念しているようです。
特に「ホクト」「雪国まいたけ」のきのこ2社はきのこの免疫力がもてはやされましたからね。

ではいつものように、

①指数構成銘柄とテーマ性
②過去データ
③日経平均との比較
④今後の方向性

の順でみていきましょう。

 

①指数構成銘柄とテーマ性

指数構成銘柄は12銘柄。

1部 8銘柄
JASDAQ 4銘柄

となっています。

上で書いたきのこ2社のほかに、水産業ではマルハニチロや極洋、日水など、私たちの生活に密着した企業ばかりです。
スーパーでの買い物などで毎日見かける名前ばかりですね。「食生活の必需品」といえます。

考えてみると人間の胃袋は一つしかありませんし食事は一日3回が主流でしょうから、需要がそんなに伸びることもないですが、逆に大きく落ち込むこともありません。
先ほどコロナで巣ごもり特需と書きました。その反動できのこ2社は直近の業績予想を減益としていますが、まあこれは特殊なケースと考えればいいと思います。

ある意味「ディフェンシブ銘柄」(景気動向に業績が左右されにくい銘柄)ですね。

 

②過去データ

2019年1月からの指数の動きです。
(日本取引所グループ Webサイト「リアルタイム株価指数値一覧」 https://www.jpx.co.jp/markets/indices/realvalues/index.html より抜粋しました。)

 

コロナショックのあとは上がるでもなし下がるでもなし、という感じですね。
先程書いた「ディフェンシブ銘柄」としての特徴があらわれていると思います。

個別銘柄をみてみましょうか。
(STIOCK-CHART.NET 株式チャート集 Webサイト 「全33業種別指数と構成銘柄のチャート一覧」 https://www.stock-life.net/industry/to_medicine.html より抜粋しました。)

水産3社と雪国まいたけ

JASDAQ上場の農業4社

 

上は水産3社と雪国まいたけ、下はJASDAQ上場の農業4社です。

雪国まいたけを除けば、均してみるとほぼ横ばいといったところでしょうか。
雪国まいたけは特需喪失の影響と思われます。材料で買われた株は材料がなくなるとこうですね。

構成銘柄は指数にリンクしているとみて良いと思います。

 

③日経平均との比較

(株マップ.comWebサイト 「業種別指数ランキング」 https://jp.kabumap.com/servlets/kabumap/Action?SRC=marketIndustry/base&KEEP=ON より抜粋しました。)

 

乖離は大きいですが上下波動は一致しているように見えます。
乖離した時期と期間をみると「ディフェンシブ」の特色があらわれているのではないかと思います。

・2021年暮れは日経平均の上昇に置いていかれてマイナス乖離になった。
・2022年2月からのウクライナ情勢による下げに対しては強い動きをしてプラスの乖離となった。

といえるのではないでしょうか。
銘柄の性格上、相場全体が上げるときには置いていかれます。なにせジミですからね。個別の材料がないですから。

 

④今後の方向性

③でみたように、上下波動に関しては日経平均に連動すると思いますが、市場全体が上げるときは小幅上昇、下げるときは比較的穏便な下げ、という展開になると思います。
コロナの影響が今後どうなるかは見えませんが、コロコロ変異していますからまた症状が重い変異株がでてきて巣ごもり特需が再燃する可能性もあります。

この動きには注目しておきましょう。

魚がもっと安くなってくれればなあ… と思う毎日。
スーパー行っても高嶺の花です。
業務用スーパー行っても切り身は安くないですからね。

需給の関係ですから消費が増えれば値段も下がります。
あなたがたも、もっと魚を食べましょう。

では、業種別指数の分析、水産・農林業を終わります。

 

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