株指南

銘柄コードと業種 ⑤ 電気・ガス

今日は電気(電力)・ガスです。

かつてはこの電気・ガスの株価の動きはとてもわかりやすくて、株価上昇・下落のメカニズムが明確でした。

電気・ガス株にまつわる定説はというと、

・有利子負債(借金)が多いので、金利が上がると金利負担が増えて株価が下がる。
・発電のための燃料費(石油・LNG・LPG)を輸入に頼っているので燃料費が上がると株価が下がる。
・円安になると燃料費の輸入コストが増えて株価が下がる

というメカニズムでした。
株価の動向は後ほどみていくことにしますが、指数の動きを見る限りでは現在の環境下(長期金利上昇、燃料高、円安)で教科書通りに動いているように見えます。

上のメカニズムを具体例で説明しましょうか

・まず有利子負債ですが、これはいわゆる企業の借金ですね
電気最大手のTEPCO(東京電力)で4兆9,000億円、ガス最大手の東京ガスで1兆425億円。
したがって1%金利が上がるとTEPCOの場合で4,900億円、東京ガスで1,042億円利払いが増えることになりますから電気・ガス株にとっては金利動向は死活問題なんです。

・原油価格・LNG・LPG
TEPCOも東京ガスも、原油・LNGなどの燃料費高騰を理由に(一旦は)営業減益を発表しています。値上げがうまくいったようです。
収入源は利用者の料金ですからね。電気・ガス代に転嫁して吸収する以外にはありません。いかに迅速に、スムーズに値上げできるかがカギです。
参考までに、現在電気会社の発電量のうち75%が火力発電となっていて、その燃料の内訳はというと、石炭が29%、LNGが37.6%、石油は1.5%、その他が31%だそうです。

・円安
2022年2月は115円前後で推移していて、水準自体は決して円安とはいえませんが、まだ少し円安方向に振れやすくなっていることは確かですね。
両社ともどの程度の円安でどの程度利益に影響が出るのか不明ですが、これも燃料費の高騰になりますから、収益圧迫要因には違いありません。

さて、そこで直近の株価動向ですが、一部銘柄では料金値上げが燃料高をうまく吸収したことに加えて、電気会社では原子力発電所再稼働期待で株価が上昇しています。
カーボンニュートラルに向けた政府の取り組みの中で原子力発電の復権が明記されていますから、これが電力株の買い材料につながっているようです。

では

①指数構成銘柄とテーマ性
②過去データ
③日経平均との比較
④今後の方向性

をみていきましょう。

 

①指数構成銘柄とテーマ性

指数構成銘柄は25銘柄。
・1部 22銘柄
・2部 2銘柄
・マザーズ 1銘柄
となっています。

テーマ性については上で書いたとおりですが、カーボンニュートラル政策で原子力発電が欠かせないとの政府の姿勢が明記されていますから、なにかにつけ買われる場面は多いと思います。
原発再稼働という話もそろそろ現実的に話題にのぼってくるのではないかと…。

実は私が証券会社にいたころから電気・ガスの業種は人気だったんですよ。
株価のメカニズムがはっきりしているということもあるのですが、もともと電気・ガス株は配当利回りがよくて、大きく上がることはないですが、下値不安も少ないために長期保有目的で買われる方が多かったんですね。
電気・ガスの会社は料金値上げという伝家の宝刀がありますから、収益が悪くなれば価格転嫁してカバーできるわけです。下値不安がないのもうなずけますね。
ちなみにTEPCOは2021年9月から値上げを続けています。
値上げするなら電気もガスもいらん、というわけにはいきませんからね…、

もう一つ付け加えると、電気・ガスの業種はPBRが低いんですね。東京ガスで0.89倍、TEPCOはなんと0.27倍!。
低いのは低いなりの理由があると考えても、さすがに0.27倍というのは安いと思いますね。送電線建てないといけないので土地をたくさん持ってるんですよ。

 

②過去データ

指数の動きを見てみましょう。2019年1月からです。
(日本取引所グループ Webサイト「リアルタイム株価指数値一覧」 https://www.jpx.co.jp/markets/indices/realvalues/index.html より抜粋しました。)

 

冒頭で説明したとおりの値動きですね。やはり今の環境は逆風とみるべきでしょうか。

電気8社、ガス8社を並べてみましょう。
(STIOCK-CHART.NET 株式チャート集 Webサイト 「全33業種別指数と構成銘柄のチャート一覧」 https://www.stock-life.net/industry/to_medicine.html より抜粋しました。)

電気会社

ガス会社

 

ほぼ指数と同じですがやはり金利上昇と原油などの燃料高、円安のトリプルパンチです。
ただTEPCO、関西電力、東京ガス、大阪ガスはここにきて値を戻しています。増益が好感されているんですね。

上の4社は分けて考える必要がありそうですが、全体としては指数がおおかた個別銘柄の動きを反映していると考えてよさそうですね。
指数をみて個別銘柄の動きと判断してよさそうです。

 

③日経平均との比較

電気とガスを分けての比較です。
(株マップ.comWebサイト 「業種別指数ランキング」 https://jp.kabumap.com/servlets/kabumap/Action?SRC=marketIndustry/base&KEEP=ON より抜粋しました。)

電気会社

ガス会社

 

分けてみると違いがみられます。TEPCO、関西電力など一部銘柄の上昇を反映していますね
これは構成銘柄数が少ない上に時価総額が大きいTEPCO、関西電力が上がっているため指数を押し上げているんですね。
ガスも若干その傾向があります。

 

④今後の方向性

逆風です。いずれにしても。
TEPCO、関西電力、東京ガス、大阪ガスの4社は引き続き注目を集めると思いますが。

環境はすぐには好転しないと思いますので、TEPCO、関西電力、東京ガス、大阪ガスといった主要どころに止めたほうが良いと思います。
出遅れ修正を狙って下手に地方の電気・ガス銘柄を買いにいくと取り残される可能性大だと思いますね。
指数が下がっている最中ではなおさらです。

さて、電気・ガス銘柄、いかがでしたか?

今日はこのへんで終わることにしましょう。

では。

 

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