だれ?
出所:Wikipedia ( https://en.wikipedia.org/wiki/Nayirah_testimony )
ずいぶん昔の話ですからね… 知っている人は少ないかもしれません。
私が証券会社にいた頃のお話です。
また今日もウクライナ情勢に絡んでのお話なんですが、とりあえず今日のお話の結論を先に言うと
①戦争が起こって株価がどうなるかなんて誰にもわかりませんよ。
②確かめようもない情報にいちいち右往左往するのも疲れるだけですよ。
③大幅に下げるんだったら買いチャンスじゃないですか?
ということです。
まず写真のヌシは、ナイラと呼ばれる当時(1990年)15歳の少女です。
1990年8月2日、イラク軍は突然クウェートに侵攻し、クウェートを自分のものにするんだと言い出しました。
これが湾岸戦争の発端になっったわけですけれども、当然世界中は「イラクさん、そりゃいかんわ」という雰囲気ではあったものの、軍事行動については結構慎重でした。
そしてその年の10月10日。アメリカ下院議会の公聴会で、クウェートから命からがら逃げてきたというこのナイラちゃんが登場して…
・私はクウェートの病院でボランティアをしていました。
・イラク軍兵士が銃を持って入ってきて、新生児室の保育器にいた赤ちゃんを取り出して、床に放置して死なせてしまいました。
・(涙…涙…)こわかったですう〜
と証言するわけです。(全部ウソだったんですが…)
これで一気に世界中が「フセイン(当時のイラク大統領)はけしからんやつだ」ということになって、1991年1月に米を中心とする多国籍軍がイラクを空爆して戦争が始まったんですね。
世にいう「湾岸戦争」というやつです。
今日の結論をこのときの状況を例に説明しようと思うんです。
①戦争が起こって株価がどうなるかなんて誰にもわかりませんよ。
クウェートは産油国です。当然原油価格は上がります。
イラクも同じ。日本はイラクからも石油買ってるからケンカしたくない。でもアメリカからは「お前も戦争に参加せい!」と突き上げられてる…
ということで国会大混乱。憲法第9条がありますからね。
株式市場は「なにがどうなるかわからない」という今のウクライナ情勢と全く同じ状態でした。
わかっているのは原油価格が上がる、それだけです。
それ以外は予想したって実際これから何が起こるかなんて誰もわからなかったんですよね。
株価はどうなったかというと、
イラクがクウェートに攻め入る前日の8月1日 終値は30,837円。
その後8月23日、23,649円の安値を付けます。 わずか2週間で日経平均は2割下げたんですね。
そしてイラク空爆が始まった1月17日、22,099円まで下がりますが、その日の終値は23,446円。
空爆が始まったというニュースが流れて営業場の株価ボードは全銘柄一斉に売り気配となったのを覚えています。でもそこから数時間で株価は1,400円近く上昇。
その後は上がるでもなく下がるでもなく、23,000円台で安定していました。
「湾岸戦争が始まってから」に限れば影響なかったわけです。
もっとも、クウェート侵攻後に2割下げたといっても、1990年はバブル崩壊で、史上最高値の38,915円 からどんどん下がってきている最中でしたから、どこまでがクウェート侵攻の影響だったかはわからないんです。
ですから、あってほしくはないけど、ウクライナでドンパチ始まったら同じような展開になるのでは、と私は考える次第。
そんなたいしたことはないと思いますよ。
②確かめようもない情報にいちいち右往左往するのも疲れるだけですよ。
前回記事
【 ウクライナ情勢と株価 ① 】、【 ウクライナ情勢と株価 ② 】 で書いたとおりです。
もういい加減うんざりですね。
軍事作戦なんて極秘ですからね。知る由もない。むしろ政治家やメディアは往々にして逆のことを言います。
そんなわからないことを想像して右往左往したってなんの得にもなりません。
正直疲れます。
ちなみに上のナイラちゃんですが…
タネ明かしをすると、このナイラちゃんなる少女は本名は別で、実は駐米クウェート大使の娘でした。クウェートなど一度も行ったことはなく、クウェート政府が行ったお芝居でした。
台本通り涙まで流すという名演技だったわけですね。
翌年の1992年にこの事実は暴露されることに相成ります。
③大幅に下げるんだったら買いチャンスじゃないですか?
「安く買って高く売る」ならこのウクライナ情勢は大いに利用すべきですね。
だいたい大きな下げになると、「いや〜 こんな下げじゃ手が出せないね…」というニュースのインタビューを見かけませんか?
実際あれは大半の投資家の正直な気持ちだと思います。
しかし株価の位置を見ると、そろそろ安い値段で買えるチャンスが近いかな、と考えています。
全体は下落傾向にあるとの考えは変わりませんが、戻りの上昇波動はあります。
大きく下押しした場面で買い→株価の戻り局面で売り
ならばチャンスは十分にあると思います。
昔から株の格言には
人の行く裏に道あり花の山
というのがあります。
株式市場が今のように弱気な状態では、人と同じことをしていては勝てませんよ。