株指南

投資のテクニック ③ ロスカットと逆指値

株のロスカットってホントにできるんでしょうかね…?

難しいと思いますよ。デイトレやってる人はできるでしょうけど。

ロスカット、というのは「損切り」のことです。
買値から下がった株を損して売る、空売りして上がってしまった株を高値で買い戻す、つまり損でもあきらめて反対売買することです。

ロスカットというと最近はFXのロスカット・ルールを指すことが多いようです。
ちょっと説明しておくと、上がるにしろ下がるにしろ、評価損が出て証拠金維持率(株の信用取引の最低維持率と同じです)を割り込むと強制的・自動的に反対売買をする、というルール、しくみです。
なにせFXの場合は無限に損失が広がりますからね。

株の世界でも使いますが「損切り」といったほうがなじみ深いでしょうか。
ここではロスカットとして進めていきますね。

私もかつては自分でルールを作って、買値から5%下がったら売る、10%上がったら売る、と決めて売買したことがあります。
どうして5%と10%かというと…

最近のネット証券では手数料無料というのが広がってきましたが、大手証券では片道0.5〜1%というのは珍しくありません。
そうすると5%下がったところで売ると手数料含めて約6〜7%の損、10%上がったところで売ると手数料・税金引いて約6〜7%の利益になるわけです。
つまり5%下がったところで売る損失と、10%上がって売る利益がほぼ同じだからなんです。

このルールでやればトータルで損はないよね、ということなんですね。
(あくまで1勝1敗が前提です。はい。)

ところが…
下がるときはあっという間に5%下がる(買い場を間違えると翌日にも)、逆に上がるときはヒーコラいってやっと10%なんですよ。
まあ、ちゃんとその通りにやれば問題はないんですが、

・板気配眺めているうちに売れなくなってしまった。
・売らないまま気がつくと5%以上下がってしまった。
・買値を上回ってはいるけど10%になかなか届かない。
・そうこうしているうちに株価が下がり始めたのであわてて売った。損はしなかったけど…

となる。
後悔するんだけれど、こんどは「いやすぐ戻るだろう」「自分の判断は正しかった」という言い訳で自分自身を説得し始めるわけですねえ…

実際こんなことをしていると10勝1敗でもプラスになるかどうか、なんですよ。
なので「やっちまった」と思ったら潔く売る、利益少なくても「ごちそうさま」で売る、そう考え直しました。

結局決めたルールが悪いわけじゃないんですよ。決めたルール通りできなかった自分が悪いわけです。

あなたのご質問の

株のロスカットってホントにできるんでしょうかね…?

というのは、「ちゃんとルール通りにあなたがやれば」できるでしょうし、その自信がないのなら難しいですよ。

前回記事【投資のテクニック②ナンピン買い】で本間宗久翁の「思い入れ違いの節はさっそく仕舞い、四五十日休むべし」という言葉をご紹介しましたが、江戸時代後期、米相場張る人はみなロスカットができなかったという証拠なんですよね。
しかも200年たっても同じことを繰り返してる…
結局人間の心理としてすぐロスカットに踏み切るのはなかなかできないということなんですよ。

さて、できないことをいつまでも話していても何も得るところはないので、「できる方法」をご紹介しましょう。

これが「逆指値」です。
あなたに代わって「強制的に」ロスカットしてくれる、同時に利益を追いかけてくれる最強の方法です。

通常、指値をする場合は、
買い注文の場合は現値よりも安い値段、売り注文の場合は現値よりも高い値段で注文を入れます。
(上限、下限を決めてその逆のを行うこともあります。)

これと逆で

・現値からある一定のラインまで上がったら買う指値
・現値からある一定のラインまで下がったら売る指値

これを逆指値といいます。

前回記事のこのチャートをもう一度見てみましょう。(一部修正しました)

 

あなたが上の○のところで買ったとします。
一旦下がりますが、また上昇に転じます。

この時点でチャートに緑線のように補助線を入れると、株価は上昇傾向、と考えることができます。
補助線はいわば下値抵抗ラインとして使えますね。
(他にも移動平均線を目安にしたりします)

ところが下の◯のところで抵抗ラインと考えたこの補助線を割ってしまいました。
こうなるとこの上昇傾向というシナリオは一度白紙に戻さざるを得ません。
下降トレンドに移行する確率は高くなります。

こんなときに、「緑色の線のところの値段を下回ったら売り」という注文が出せるわけです。
これはロスカット目的だけでなく、新規建ての空売りにも使えます。
節目を割るともう一段下がることが考えられますからね。

また空売りの場合はこの逆ですよね。あるところまで上がったらロスカットの買い戻し。
新規買いでも使えます。つまり…
節目を抜けるタイミングでは、潮目が変わるため、戻り売りで圧迫されていた株価が、重しが取れて上に突き抜ける、ということがよくあります。
そこから新たな展開に入っていきますので、現物取引にしても信用取引ににしても新たな買いチャンスに変わるわけですね。

この逆指値をしておけば、あなたの意思に関係なく、注文は執行されます。
負けは負けとして、またそこから作戦を立て直せばいいわけです。
結果的にこの方法をとるのが一番怪我が少ないと言えるでしょう。

ロスカットルールを決めて行うのであれば、ぜひ活用したい手法ですね。

ちなみに、相場の格言には「指値を取り消すな」というのがあります。一度決めたら迷うな、という意味です。

過去記事【 投資のテクニック ① 売り上がり 】でお話した 牛田権三郎の「三猿の秘密」そのものですね。

参考になりましたか?

では、今日はこれで終わりましょう。

 

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