株指南

投資のテクニック ④ 上値抵抗線・下値支持線・傾向線

ウクライナで戦争が始まりましたが、日経平均はいったいどこまで下がるのですか?

そんなことはわかりません。

ただおおよそどのあたりで一旦下げ止まるか、そこから上昇したとしてどのあたりまで戻るのかは予想できます。

今のような下落局面では、どこまで下がるのか、どこで下げ止まるのか、反発してもどれくらい上昇するのかが予想つかなくなります。
これだけ高値から下げているんだからそろそろ買いどきじゃないの? といって、単に安いというだけの感覚で判断してしまいがちですが、往々にしてそこからもう一段下げるということはよくあります。

値段だけで判断せずに、中期的な見通しを立てないと買い時、売り時を間違えるんですよね。
私がこのブログでずっとお話している、「まず最初に株式市場全体の方向感をつかむ、株価の傾向を見ることが必要。」というのはまさにこのことなんです。

そしてその株価の上値余地、下値余地を予想するのに使うのが、上値抵抗線、下値支持線、傾向線(トレンドライン)の3つです。

・ここまで行ったら上げ止まるであろうラインを上値抵抗線
・ここまで下がったら止まるであろうラインを下値支持線
・上昇傾向なのか、下落傾向なのかを示すラインを傾向線(トレンドライン)

と呼びます。単に抵抗線、支持線と呼ぶこともあります。

図で見てみましょう。
(四季報オンラインWebサイト「『抵抗線』『支持線』でメド探る」《 https://shikiho.jp/news/0/24260 》から抜粋しました。)

 

 

それぞれの線の引き方は、

上値抵抗線・・・高値どうしを結ぶ
下値支持線・・・安値どうしを結ぶ
傾向線・・・上昇傾向の場合は切り上がっていく安値を結ぶ、下落傾向の場合は切り下がっていく安値を結ぶ。

というやり方です。私はこれに加えて上昇傾向のときも下落傾向のときも高値を結んで傾向線を引きます。

具体的にご質問の日経平均で見てみましょうか。
まずこれが令和4年2月24日現在の日経平均の動きです。上が日足、下が週足です。

日足

 

週足

 

あなたならどう引きますか?

週足であれば抵抗線、支持線、傾向線は簡単に引けると思います。
こうですね。

 

では日足はどうでしょうか。
明らかに下落傾向ですから抵抗線と支持線が引けないと思います。
こういうときは傾向線だけで大丈夫です。

 

なぜ抵抗線が上値のメドになるのか、支持線が下値の目安になるのか、これはこれまで折に触れて説明してきたのですがもう一度確認しましょう。

・抵抗線の場合
高値をつけるときというのは出来高を伴います。現物買いに加えて信用の買いも膨らみますね。
しかし高値をつけたところで上昇が止まってしまうと、高値近辺で買った多くの人、多くの株数は売れずに滞留してしまいます。
ですから下落したあと再び上昇しても、戻り売り、期日売りなどで株価が押さえつけられてしまいます。
そのため直近の高値、その前の高値を結んで、どのあたりで戻り売りが出るかというのを見るわけです。

・支持線の場合
これは抵抗線の場合と考え方は同じなのですが、少し状況は異なります。
下げ局面というのは上昇時と違って出来高が細りながら下落していくことが多いです。
ですから前の安値近辺まできたら、一旦買い戻し、打診買い(とりあえずこの辺で買っておく)、下値拾い、という動きが出てそこで下げ止まる、という理屈です。

では株価がこの抵抗線と支持線を突き抜けた場合はどうなるでしょうか。

・抵抗線を上に突き破る場合
これは、以前高値近辺で買われた多くの株数が、それを上回る力、株数によって消化された状態です。
以前の高値で滞留していた戻り待ちの株は、上昇すれば利益をとって売却されますから、圧迫要因がなくなるわけですね。
そうすると株価はもう一段上まで上昇しますから、その上昇が止まったところが次の新しい抵抗線になるわけです。

・支持線を下に突き破った場合
これはいわゆる「底抜け」の状態で、ここから先どこまで下がるかというのは予想つきません。
株の習性として、一旦底を打って上昇してもまた下値を切り下げてくる場合がよくあります。
この場合は正直抵抗線は引きづらいです。 先ほどの日足で抵抗線が引けなかったのはこのためです。

お気づきかと思いますが、抵抗線を上回るか、支持線を下回るかというのは、結局は買い株数と売り株数の押し合い、つまり需給によるわけです。
私がこのブログを始めたときにまっ先に書いた記事【株が上がる理由、下がる理由】でお話したとおり、

買う人 > 売る人 株価上昇
売る人 > 買う人 株価下落

この絶対公式なんですね。

では、傾向線について説明しますね。

実は私は抵抗線、支持線は使っていません。傾向線だけで十分だと思っています。
傾向線を使うと抵抗線や支持線と同じように上値のメドと下値のメドがつかめるだけでなくて、抵抗線を突き破ったあとの「次の高値」、支持線を下抜けしたあとの「次の安値」の予想が立つからです。抵抗線と支持線だけではこれがわかりません。

いつも私は傾向線を2本から3本引きます。最初に書いたように、下値を結ぶ線と上値を結ぶ線です。

もう一度先ほど私が引いた傾向線を見てみましょう。日経平均月足です。

 

 

おおよそ傾向線のとおりに動いていますね。下落傾向ですから次の下値を模索しているのですが、実際昨晩(日本時間令和4年2月25日未明)の日経先物CME(シカゴ)は、ちょうど一番下の緑ラインで下げ止まりました。

また抵抗線、支持線と傾向線が交わるところを見ていただけますか。(黄色の線と緑色の線が交差するところです。)
この交わるところがほぼ高値、安値になっていることがおわかりいただけますでしょうか。

抵抗線、支持線を無理して引かなくても、傾向線で方向感がつまめますし、上値下値のメドが予想できます。先ほどの需給の関係も把握できるわけです。
ですので、私はもっぱらこの傾向線を「抵抗ライン」として使っています。

いかがですか?

さて、まだまだウクライナ情勢で「なにをどうしていいかわからない」状態が続くと思いますが、目先の株価が上下するのに一喜一憂するのをちょっと止めて、この傾向線で市場全体の方向感、傾向を眺めていただきたいと思います。

さて、今日はこれで終わりにしましょう。

では。

 

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