株指南

証券会社を信じるか?

証券会社の勧める株って、儲かるの?

う〜ん、痛いところを突かれましたね…
結論から言うと、「儲かる株もあれば、損する株もある」って答えになります。

なぜなら、このブログで最初にお話しした
・売る人よりも買う人が多ければ株は上がる
・買う人よりも売る人が多ければ株は下がる
という絶対公式がある以上、赤字続きの会社でもひょんなことから投資家の注目が集まって大きく株価が上がることもあれば、どんなにいい会社でも人気が出なくて「蚊帳(かや)の外」に置かれることがあるからです。証券会社は占い師ではありません。

それじゃ答えになっていないじゃないか、とお叱りを受けるでしょうから、

証券会社の勧める株を参考にしていいの?

という視点で今日はお話を進めていこうと思います。10年間野村證券でお世話になった経験をもとに、証券会社にいたからこそお伝えできる「肌感覚」で説明していきますね。

先に言うと、大いに参考にしていただきたい、というのが結論です。

まず「証券会社の勧める株」というというのには大きく分けて二つのパターンがあります。

①証券会社の調査部門から出される企業分析情報、調査レポート。
②証券会社の営業担当者が勧める銘柄。

順に説明していきましょう。

①証券会社の調査部門から出される企業分析情報、調査レポート

私がお世話になった野村證券には野村総合研究所というグループ会社があって、企業調査だけでなく、経済の見通し、国際情勢、世界のマーケット動向など、株式市場に影響を与える、ありとあらゆる情報を分析しています。
過去記事で証券会社の選び方のお話をした際、総合証券会社を選ぶメリットをあげましたが、大手証券会社はこうした研究機関を持っているのが強みですね。

《長所》
・あなたが詳しく調べる以上の情報が手に入ること。
こうした分析をもとに選び出された銘柄というのは、成長性、業績見通し、業界の動向(同業他社との比較)、市場での流動性(売買に問題はないか)などをしっかり調査した上で公表されます。これだけの情報を集めて分析するというのは個人の力ではとても無理です。たとえA4一枚の情報であっても、そこにはたくさんの時間と労力が詰まっているんですよ。
・不祥事でもない限り突然株価が大きく下がったりする危険は少ないこと。市場の大暴落があっても戻り(値上がり)が早いケースが多いこと。
株の選び方はいろいろありますが、特に大口投資家や海外の投資家は、最終的には企業の価値や業績を重視します。ですから大口投資家や海外の投資家が「さて、何から買っていこうか」と考えた時に、真っ先にリストアップされるのは調査レポートで発表されるような業績のいい会社です。株投資の基本ですね。

《短所》
・株価の位置を重視していないこと。
調査部門は企業分析、特に成長性や業績見通しを重視しますから、その株がいま高いのか安いのかはノーコメントです。そりゃそうですよね、株式市場が低迷しているときでも、市場全体がどんど上昇しているときでも、毎週のように調査レポートは公表されるわけですから、その銘柄が「いま買い時」とは言えないわけです。
・短期投資に向かないこと。
上の短所に関連しますが、売買のタイミングは自分で探らないといけません。「安い時に買って高い時に売る」ためには待つことも必要ですね。逆に中、長期の投資対象としては非常に優れている、と言えるのではないでしょうか。

②証券会社の営業担当者が勧める銘柄
あなたの疑問は、担当者の言っていることが信じるに値するか? ということですよね。結論を言えば、SNSやネット上に転がっている情報に比べればはるかに信頼できます。これは正直、最終的には担当者との信頼関係なんですけどね。

《長所》
・担当者が勧めるには根拠があること。
会社全体、支店全体で「この銘柄をお客さんに勧めよう」というのは、あります。これは昔も今も変わりませんね。しかしこうした銘柄は調査部門の分析に基づいて選びますし、それをもとにみんなで考えて支店独自のオススメ銘柄を決めたりしています。ちゃんと根拠があるんですね。
・担当者独自の情報も得られること
私もそうでしたが、担当者は他支店の同期や先輩、他の部署からも情報を集めます。地方支店の同期から「うちの地元にこんな会社があるんだけど、ものすごく業績伸びてるぞ」なんて話を聞くとそれをお客様に勧めましたし、お客様が仕手株(してかぶ)や政治銘柄などのアヤシイ株に手を出そうとする際は、やめたほうがいいですよというアドバイスもしました。(仕手株や政治銘柄については機会があればあらためてお話ししますね。)

《短所》
・担当者の能力に左右されること
短所といえばこれに尽きます。担当者がちゃんと勉強しているかどうか、あなたの身になって考えてくれているかどうか、的確な判断ができるかどうか、結果的に儲かるか儲からないかというのはこれに左右されます。
ちなみにベテランだからといって若い人よりも優れている保証はありません。これまでの経験に頼って変化に対応できないベテランもいますし、若くても一生懸命勉強して的確なアドバイスをしてくれる担当者もいらっしゃいます。
担当者が決まったら、まずは自分の希望ーどれくらい利益がほしいのか、短期投資なのか中長期の投資なのか、連絡の頻度(しつこい勧誘はイヤ)ーなどをはっきり伝えましょう。そのうえで、担当者との信頼関係を作り上げていってください。

どうでしょうか?
ネットでは「証券会社の勧める株は儲からない」「証券会社の担当者の言うことを聞くな」なんていうネガティブな情報がたくさんありますが、私はそうは思いません。
証券会社発の情報、マーケット発の情報というのは、1分1秒単位でその表情を変える、生きた情報です。その中に身を置いていないと得られない感覚なんですね。
常に変化しているからこそ判断も難しいし、なかなかお客様にうまく伝わらないんです。

今日お伝えした内容は、10年間証券会社に身を置いてずっとお客様と接してきた経験をもとに正直に書きました。

最終的に買う、買わないを判断するのはあなたです。
今日のお話が少しでもその判断のお役に立ってもらえれば幸いです。

では。

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