NISAの記事を書いていて、そういえば投資信託についてこれまで説明してこなかったよね…
と、ふと思い出しまして。
今日は投資信託のお話をしようと思います。
個人的な話なんですが、投資信託と聞くとどうしても避けて通りたくなるんですよね。
証券会社勤務時代を振り返って、今から思いおこせば楽しいことばかりだったんですが、この投資信託だけは正直憂鬱のタネでした。
後ほど説明しますが、当時の投資信託の募集というのは定期預金と同じような貯蓄型が大半で、単位型投資信託、スポット投信、クローズ投信と呼ばれていました。
月々支店に数字が降りてくるわけですよ。それを支店内の各セクションに割り振る、営業に降りてきた数字をさらに各課に割り振る、それをさらに兵隊割りする…
これは絶対ノルマでパンクするわけにはいきません。(最後は残った数字を全員でやり遂げるんですけどね。)
毎日の募集額の進捗は各自の申告によって集計されます。
朝、全体ミーティング後の各課ごとの打ち合わせ。
「今日なんぼやるの?」
から打ち合わせスタート。各自自己申告。
そして終業時、各課ごとの打ち合わせ。
「今日なんぼ増えたの?」
から打ち合わせスタート。各自結果を報告。
実際に増えたのか増えてないのかは関係ありません。
「今日はゼロでした」というわけにはいかないので、たとえゼロであっても「今日は〇〇増えました」と言うしかない。
ホワイトボードの数字だけは毎日増えていくんですよね…
実際の数字じゃないわけです。これを「カラ数字」「カラ」というんですが、募集締切間近になるとみんなの顔がひきつってきます。
カラ埋めるのに必死なわけですよ。
まあ、最後はちゃんとカラも埋まってなんとかなるんですけど、これが毎月毎月、ゆく年くる年延々続くわけです。
雨が降ろうがヤリが降ろうが… 誰も株を買いたがらないような相場低迷時や暴落のときでも、本部からは容赦なく数字が降りてきます。
先ほど書いたように、単位型投資信託(スポット投信、クローズ投信)というのは「〇〇年満期」という貯蓄型になっている投資信託です。
いまは追加型、オープン型といって株と同じように売買するタイプが主流ですけどね。当時は単位型がほとんどでした。
なにか悪いことでもあるの?
という話なんですが、実はこの単位型投資信託はだいたい4年か5年満期で、クローズ期間が設けられています。お客様はこのクローズ期間、解約できないわけです。
だいたい2年でした。
お客様にしてみれば、株で運用するわけだから最初から何%という利回りが決まっているわけでなし、損をすることだってある。
2年たってフタを開けてみないといくらになっているかわからないわけですよ。(実際バブル崩壊後の下げで、元本割れで満期を迎えるものもありました。)
入社当時は「証券会社にお金を預けると損する」なんていう風潮もまだ少し残っていましたから、安心して預けられないのもごもっともです。
そのころ銀行に「ビッグ」という商品があって、5年で1.5倍が確約されていましたから、普通に考えたらそちらに預けますよね。
それだけ昔は高金利だったんです。今では考えられませんけど。
だから銀行の定期預金から乗り換えるのも躊躇するし、株をやってるお客様は、「そんな2年間も寝かせる資金あるなら株に回す。」とおっしゃる。
そりゃ正しい。
まして誰も株を買いたがらない相場低迷時に、投資信託の話を持っていったって話なんか聞いてやくれません。
逆の立場に立ってみればそうですよね。
結果的にはその後の株価の上昇でパフォーマンスも良かったし(2年のクローズ明けたら2割増えてた、満期で1.4倍になった、などなど)、なんだかんだと言いながら預けていただいたお客様にはいい結果をお返しできたと思います。
その後バブル後の低迷で元本割れが相次いだのは心残りですけどね。
さて…
今日は投資信託の説明をしようと思って書き始めたのですが、昔のことを思い出していたら長くなってしまいました。
次回は「投資信託とはなんぞや」というところから始めていきます。