株指南

スクリーニング ② PERとPBR

スクリーニングってのはわかったけど、検索項目の意味がさっぱりわからん。

そうですよね。全部説明しても「見るのもイヤ」になるだけなので、前回は説明やめました。
今日は検索項目にあった「PER」と「PBR」について説明しますね。

結論を言うと、今の株価が「割安」か「割高」かどうかを計るモノサシが「PER」と「PBR」なんです。
つまり「PER」と「PBR」を見れば、その株が「割安」なのか「割高」なのかがわかる、というわけです。

ではどんなものなのか、具体的に説明していきましょう。

⚫PER(ぴーいーあーる パーということもあります)
これは、今付いている株価が割安なのか割高なのかを「その会社の稼ぎ・利益」から判断する時に使います。
日本語でいうと「株価収益率」。

これ、一応説明しますけど覚えなくていいですよ。面倒だったら飛ばしてください。

①まず会社が利益を上げて、いろんな経費や税金を払うと最後に「当期純利益」が残ります。
②これを発行済株式数(この会社が発行した株数)で割ります。(当期純利益➗発行済株式数)
③すると、1株あたりの純利益がわかりますね。これをEPS(一株あたり当期純利益)といいます。
④現在の株価がこのEPSの何倍買われているか、というのがPER(倍)です。
(PER=株価➗EPS)

令和4年2月10日現在、
東証1部 2,183銘柄の平均PERは14.88倍 日経平均225銘柄の平均PERは13.70倍
です。(各社の来期決算予想ベース)

ですから狙った銘柄のPERが14倍以下だったら、まあ割高じゃないよね、と判断はできます。
そこで「平均PERよりも割安な株」をあぶり出すために、PER[会社予想)の条件欄に
「1倍以上〜10倍以下」 と設定したんですね。

使い方としては次のような場面でも便利です。
A社とB社は業種も事業内容も同じ。株価も同じ1,000円だったとしましょう。
このときA社のPERは20倍、B社のPERが10倍だったとすれば、同じ株価でもB社のほうが割安、ということになりますね。
こうした比較ができるのは助かります。

最後に、このPERはとても便利なのですが、ちょっとした落とし穴があるので説明しますね。

①PERが高いからといって必ずしも割高でないことがある。
急成長している会社などは、将来の業績を期待し「先取り」して値上がりするためPERが高くなることがあります。
さらなる成長が見込めるならば、PERが高くても更に値上がりすることはよくあります。

②PERが低いからといって必ずしも値上がりするわけではない。
これは①の逆パターンで、業績が悪くなりそうだ、あるいは成長が見込めないといった銘柄や業種なら、いくら割安だと言われても買う気になれませんよね。だから割安な状態で放置されることが往々にしてあるわけです。
またなぜか「万年割安」という銘柄もあって、スクリーニングすると毎回おなじみのようにリストに登場する銘柄があります。株価を決めるのは投資家の人気なんですね…

こうした場合はPERの数字に頼らず、基本に帰って週単位、月単位の大きな傾向を見たり、市場全体の傾向を見たりして買うかどうかを判断しましょう。

⚫PBR(ぴーびーあーる)
これは、今付いている株価が割安なのか割高なのかを「その会社の純資産」から判断する時に使います。
日本語でいうと「株価純資産倍率」。

これも覚えなくていいです。一応書いときます

①まず企業の決算書にある「純資産」の額を発行済株式数(この会社が発行した株数)で割ります。(純資産額➗発行済株式数)
純資産というのは、今会社が事業をやめて解散したら株主にいくら配分されるか? という解散価値を示します。
②すると、1株あたりの純資産が計算されますね。これをBPS(一株当たり純資産)といいます。
③現在の株価がこのBPSの何倍買われているか、というのがPBR(倍)です。
(PBR=株価➗BPS)

令和4年2月10日現在
東証1部 2,183銘柄の平均PBRは1.25倍 日経平均225銘柄の平均PBRは1.24倍
です。

業種によっては純資産額が少ない場合もありますから、ここは平均よりも高めの2倍以下としました。
しかし… 実際、PBRは私自身、次のケース以外はほとんど使いません。

①株価が暴落・低迷して、100円台、200円台の安い銘柄(これを低位株 ていいかぶ と言います。)が続出している時に、PBR1.0以下の銘柄を探す。
PBR1.0未満というのは、企業の資産価値・解散価値よりも安い状態に置かれているわけですから、待っていれば自然と株価は修正されるはずです。
実際2008年のリーマンショック後の市場低迷期にはこの投資法はとても有効でした。

②歴史の古い会社(資産が積み上がっている会社)の株価が下がっているときに、やはりPBR1.0未満かどうかで割安かどうかを確認する。
これは①と同じ手法です。

いずれにしてもこの買い方が成功するのは、あくまで「売られすぎ」が修正される局面だけですので、あまり出番はありません。
そもそも成長著しい若い会社は利益をどんどん次の事業につぎ込んでいくので資産なんてないわけですから…
PBRはあくまで参考程度に見ておけばいいでしょう。

さて、ちょっと難しく書きましたがご理解いただけましたか?

結論として、実際の使い方としては
・PERが14倍以下なら「割高感はない」と考える。
・PBRが1.0未満で株価が低迷しているなら一考の価値はあり。

という感じですね。

 

★本日の証券用語
・EPS いーぴーえす:一株あたり当期純利益。企業の当期純利益額を発行済株数で割ったもの。
・PER ぴーいーあーる パーということもあります:株価収益率。 現在の株価をEPSで割ったもの。単位は「倍」。今の株価が割安なのか割高なのかを会社の利益から判断する時に使います。
・BPS びーぴーえす:一株あたり純資産。企業の純資産額を発行済株数で割ったもの。
・PBR ぴーびーあーる:株価純資産倍率。 現在の株価をBPSで割ったもの。単位は「倍」。今の株価が割安なのか割高なのかをその会社の純資産から判断する時に使います。
・低位株 ていいかぶ:株価が100円台〜300円台と低い銘柄のこと。逆に数千円〜10,000円以上のような高い値段の銘柄を値がさ株(ねがさかぶ)といいます。

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