株指南

大型株・中型株・小型株

ねえ、こないだのスクリーニングでどうして「時価総額500億以上」にしたの?

そうですねえ… 時価総額については「知っておいたほうがいい程度」とは言いましたが、銘柄選びに「一応」関係ある、とも言いましたからねえ…

理由は前回記事の最後で「あまり規模の小さい会社だと往々にして売買が少なくなる傾向があるので」って書きました。
それではあまり意味がわからないと思うので、今日はそのタネ明かしをしようと思います。

ご説明したように
時価総額=株価✕発行済株式数
でしたね。

企業の株価はまちまちですからいちがいに言えませんが、掛け算ですから、時価総額が小さい会社というのは発行済株式数が少ない、と推測可能なんですね。
発行済株式数が少ないと、市場に出まわる株の数も少ないわけですから、売買も少なくなる。
一日の売買が数千株、なんてこともあるわけです。そうなると買うに買えないし、売ろうと思ってもなかなか売れない。「あの人はいま…」状態に陥るわけです。

だからそうした銘柄をはじき出すために500億円以上、としたんですね。時価総額500億円以上あれば、一日の売買がそこそこあるだろう、という判断でした。

これがご質問に対するお答えです。おわかりいただけましたでしょうか。

さて、ここからは前回記事で予告した、時価総額に関連する大型株・中型株・小型株のお話を進めていきましょう。

①固定株と浮動株
②大型株・中型株・小型株の分類
③大型株・中型株・小型株ー銘柄選びのメリット・デメリット

の順に説明していきますね。

まず①固定株と浮動株の説明をしましょう。

固定株(こていかぶ):発行済み株式のうち、大株主などが保有している株式。持ったままなので市場に出回らない。
浮動株(ふどうかぶ):発行済み株式のうち市場に出まわる株式。
浮動株比率(ふどうかぶひりつ):浮動株数 ➗ 発行済株式数 ✕ 100(%) その銘柄の流動性がわかる。

上場会社には大株主というのがいて、創業オーナーやその同族、役員、金融機関や親会社が発行済株式数の多くを保有しています。
大株主は特別の事情がない限り、持っている株を売りませんから、ずっと保有したままです。これが固定株です。
逆に浮動株は発行済株式数から固定株の数を引いた残りで、市場に出回って売買されるわけですね。
これをもとに浮動株比率を計算します。発行済株式数のうちどれくらいが市場で売買されるか、を表します。浮動株比率が高ければその銘柄の流動性は高いといえます。

次に②の大型株・中型株・小型株の分類ですが、私が野村證券にいた頃は漠然と

大型株=なかなか上がらない株。(だからお客さんには勧めない。) なかなか下がることもないけど…
小型株=値動きが軽く株価が急上昇しやすい。(一発勝負ならこれ。) ただし下がってしまうと「あの人はいま…」に…

という感覚でとらえていました。現在は東証1部の銘柄を対象にして、東京証券取引所が

・大型株:時価総額と流動性が高い上位100銘柄(指数 TOPIX 100 構成銘柄)
・中型株:大型株100銘柄の次に時価総額と流動性が高い400銘柄(指数 TOPIX Mid 400 構成銘柄)
・小型株:大型株と中型株以外の銘柄全部(指数 TOPIX Small 構成銘柄)

と定義しています。

大型株の100銘柄はこちらから
日本取引所グループ ホームページ https://www.jpx.co.jp/news/1030/nlsgeu000005vhpu-att/TOPIX100leaflet.pdf

中型株の400銘柄はこちら(TOPIX Small との混合リストになっています)
日本取引所グループ ホームページ https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/tvdivq00000030ne-att/mei_12_size.pdf

TOPIXについては別記事であらためてご説明しますね。

③では最後に、大型株投資、中型株投資、小型株投資 それぞれのメリット、デメリットを整理してみましょう

◎大型株
《メリット》
・安定した大企業が多いので投資対象として安心感がある。
・全体が下がっている局面でも極端に値崩れすることがない。
・流動性が高いので買いたいときに買える、売りたいときに売れる。
・日本をを代表する歴史の古い会社が大きので企業情報が豊富。
《デメリット》
・株価が安定しているので短期投資で大きな値上がりを狙うには不向き。
・企業情報が豊富だが豊富すぎて判断に迷う。

◎中型株
《メリット》
・企業規模、安定性は問題なし。流動性も問題なし。
・大型株に比べて値動きが軽い。大きな値上がりも狙える。
・大型株の動きが止まると動き出す習性あり。
《デメリット》
・大型株に比べると値動きが大きいので値下がりも大きくなる。
・大型株、小型株と比較すると全てにおいて「そこそこ」

◎小型株
《メリット》
・創業から歴史の浅い会社が多く、大きく成長する会社が発掘できる。
・成長性が顕著な企業は株価が何倍にもなることがある。
・浮動株が少ないので人気化すると一気に大きく値上がりする。一発勝負ならこれ!
《デメリット》
・浮動株が少ない(=流動性が低い)ので買いたいときに買えない、売りたいときに売れない事態が起こる。
・ダイナミックな上がり方をするが、下げ方もダイナミック。
・投資家から見向きされなくなったら何年にもわたって放置される。

これを見ておわかりいただけるように、どれが一番良いということはないです。この特性をしっかり把握して、その時の市場の傾向に応じて選び分けしていきましょう。

さて、なぜ大型株のように時価総額が大きくて流動性が高いと値動きが緩やかなのか、小型株は値動きが激しいのか…
なんとなく分かるけどよくわからない、というあなたのために少し補足しますね。

バケツとコップがあるとしましょう。
バケツを満タンする水の量とコップを満タンにする水の量は全く違いますよね。

バケツを満タンにする水の量=大型株を1円値上がりさせるのに必要な資金量(買い注文)
コップを満タンにする水の量=小型株を1円値上がりさせるのに必要な資金量(買い注文)

と考えたらどうでしょう。
大型株は大きな資金が入ってこないと動かない。
小型株は人気が集まると簡単に値上がりする。

イメージできましたでしょうか?

実際のところ、機関投資家と呼ばれる国内の大口投資家や海外投資家は大きな資金を動かしますから、ある程度流動性がある銘柄しか買えませんよね。

 

★本日の証券用語
・固定株 こていかぶ:発行済み株式のうち、大株主などが保有している株式。持ったままなので市場に出回らない。
・浮動株 ふどうかぶ:発行済み株式のうち市場に出まわる株式。
・浮動株比率 ふどうかぶひりつ:発行済み株式数に対する浮動株数の割合(%)  浮動株数 ➗ 発行済株式数 ✕ 100(%) その銘柄の流動性がわかる。
・大型株 おおがたかぶ:時価総額と流動性が高い上位100銘柄(指数TOPIX 100 構成銘柄)
・中型株 ちゅうがたかぶ:大型株100銘柄の次に時価総額と流動性が高い400銘柄(指数TOPIX Mid 400 構成銘柄)
・小型株 こがたかぶ:大型株と中型株以外の銘柄全部(TOPIX Small 構成銘柄)

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