ところで日銀はETFで儲かってるの?
はい。ガッポリ儲かってます。
あれだけ日経平均を押し上げて、下がったときには下支えしてくれている日銀のETF買入れですが、日銀がこれでちゃんと利益をあげているのか、投資家でなくても関心があると思います。「まさか損してないよね?」とも思いますよね。
では本題に入る前に、ちょっとETFについて説明しておこうと思います。
これまで詳しいことはスルーしてきましたので。
簡単に言うと
・ETFというのは「上場投資信託」のことで
・普通の株式と同じように「東証1部で」「時価で」売買されていて
・ETFを買うとETFに組み込まれている銘柄に注文が行って
・その銘柄が買われる
というしくみです
詳しくは様々なサイトで説明されていますから機会があればご覧いただきたいと思いますが、きっと見てもわからないと思うのでざっくりご説明します。
投資信託というのはお聞きになったことがありますよね。銀行でも郵便局でも販売しています。
これは投資家から集めたお金をファンドマネージャーが運用して、満期に元本と収益金を受け取る貯蓄タイプです。(株が下がったら元本割れします。)
ETFというのはこれを発展させたもので、組み込まれた株の値段によって上がったり下がったりするように設計されています。株と同じ動きをします。
日銀が主に買っているのは日経225ETFといって「日経平均にほぼピッタリ連動する」投資信託です。
(TOPIXに連動するETFほかも買っています)
なぜならば… 日経225ETFは日経平均を構成する225銘柄を買って運用されている投資信託だからです。
日経225ETFを買えば、そのお金が日経平均を構成する225銘柄に行く、つまり自動的に225銘柄が市場で買われるわけです。日経平均株価の下支えになるわけですよ。
設計図は私も説明できませんが、日経225ETFは日経平均の動きに合わせて「リアルタイム」で動きます。
だから株式と同じような動きをするんですね。
結論としては
日経225ETFが株式市場で買われる → その資金で日経平均構成225銘柄が買われる → 日経平均が上がる
というメカニズムです。
日銀がなぜバカスカETF買入れをしているのか、その理由がおわかりいただけましたか?
さて日銀がどのタイミングで買っているのか、いつ売っているのかは全くのブラックボックスですが、期末のETF残高と一年間の売買損益については日銀のホームページで見ることができます。
日本銀行ホームページ「会計・決算」
https://www.boj.or.jp/about/account/index.htm/
見るのも面倒でしょうから、肝心な部分を抜き出してみます。利益は上がってますね。
ETF期末残高 損益 日経平均3月末終値(円未満切捨)
平成30年3月期 24兆7,848億 +4,416億 21,205円
令和 2年3月期 29兆7,189億 +6,047億 18,917円
令和 3年3月期 35兆8,796億 +7,275億 29,178円
令和 3年9月期 36兆2,050億 +7,718億 29,452円 (中間決算)
少し話は変わりますが、株を保有している会社というのは、決算期末の時点で
・一年間どれくらい利益をあげたか(損失を出したか) → 売買益・売買損
・持っている株がどれくらい上がっているか(下がっているか) → 評価益・評価損
・持っている株の時価評価はいくらか
を計上しないといけません。
上の日銀の数字を見る限りでは日銀が保有しているETFの「評価益」はわかりません。
ただ令和3年3月末、9月末の日経平均と比べると令和4年2月半ばの日経平均は27,000円前後で、2,000円以上も下の水準ですから、単純に考えたら「評価益は目減り」していると考えられますよね。
これは企業が保有する株や、ファンドマネージャーが運用している財産の評価にも当てはまります。
そうなると
・昨年3月、9月の値段まで上がってくれないと評価益が目減り、もしくは評価損が出る。
・ファンドマネージャーの運用成績に影響が出る
という恐れが出てきます
それを避けるために、期末の3月31日に向けて、昨年3月末の29,178円、もしくは9月の29,452円まで買い上がるのではないか、日銀がETFを買い増して株価を押し上げるのではないか、と想像できるわけです。
これがタイトルに書いた「3月期末高」です。
ネットを巡回してもまだこの話題は見かけませんが、一応意識しておいたほうが良いと思います。
じゃ、あなたはどうしたらいいのか。
このシナリオならば、ウクライナ情勢のような弱気材料で「大きく下に突っ込んだとき」は格好の買い場、ということになりませんか?
【 人の行く裏に道あり花の山 】でも書きましたが、そろそろこうしたチャンスが来るのでは、と考えています。
ぜひご一考を。