ウクライナ情勢とともに市場の重しになっているのがアメリカ金利の動向ですが、その金利を左右するのは何かというと毎月発表される経済指標です。
市場は常にいい材料よりも悪い材料により反応しがちですから、特に現在のように、ゲームの「黒ひげ危機一発」をしているようなおっかなびっくりの相場では、発表される経済指標に過剰反応するのも無理はありません。
今日は連日発表される経済指標が株価にどのように影響するのかを考えてみましょう。
結論から先に言うと、
・日本の経済指標は無視しても影響なし。
・アメリカのいくつかの経済指標は一応気にしておいたほうがいい。
ということです。
結局無視していいんじゃないの?
と思うあなた、それはそうなんですが、それを言ってしまっては元も子もないのでこれからゆっくり説明していきます。
①日本の場合、と②アメリカの場合、に分けて考えます。
①日本の場合
私が日本の経済指標を無視していいというのは二つ理由があります。
一つは株式市場全体が反応することはほとんどないということです。
経済指標=景気動向を示す数字 ですから数字が良いに越したことはありません。しかし良くなっても悪くなっても、株式市場がそれを見て大きく動くかというと、経験上反応はごくわずかです。
一応アメリカと同じように景気動向は金利を動かしますから、景気が上向けば金利も上昇します。
金利動向次第では債券市場が荒れますが、株式市場への影響はごくわずかですね。
「だからなんなの?」という感じですね。
株式市場市場全体が反応するというよりは、むしろ個別銘柄物色に比重が置かれます。
経済指標に関連する業種などですね。
ただ経済指標を見るくらいなら、渋谷や原宿を歩いて世の中のトレンドをつかんだほうがよほど参考になる、と私は思う次第。
二つめは経済指標そのものが信用できないということです。
ビジネスの世界では投資してどれだけのリターンがあったのかは必ず検証します。その上で失敗した部分があれば修正して次の投資に生かしていきますよね。
これは常識です。
ところが日本という国は景気対策(他の政策もそうですが)を行っても効果測定をしようとしない。それどころか効果がなくても失敗を認めようとしないわけですよ。
それで何をしたかというと効果があったようにデータの改ざんをしたわけですね。
改ざんに至らないまでも、シナリオにそぐわない不都合な数字があればシナリオに沿うような集計をしたり… 都合が悪くなると次の政策にすげ替えますしね。
ゆえに信用できないわけです。
これが二つめの理由です。
さて、では②、アメリカの場合を見ていきましょう。
正直アメリカは日本に比べて非常に神経質にマーケットが動きます。
もちろん個別物色が行われるのは日本と変わりはありませんが、NASDAQなどの成長企業の多い市場はとても敏感に反応します。
またドルは世界の基軸通貨ですから、それを左右するアメリカ金利は世界が注目しています。世界に波及しますしね。ですからアメリカで発表される経済指標というのは見逃せないんですよ。
ではどんな指標を意識しておいたらいいか、いくつかあげてみます。
ただこの数字の大小や推移などを神経質に観察する必要はないです。日本株との関係では間接的な影響しかありません。
それでニューヨークが暴落ともなれば別ですが、そうでなければスルーです。
・雇用統計
これが最重要です。雇用体系が異なる日本とは違ってこれが景気動向を如実に反映します。
毎月発表されます。
・FOMC議事録
最近話題のアレです。アメリカの金融政策の方向性が示されます。
・FF金利
よく耳にする言葉だと思います。これがアメリカの政策金利です。昔の公定歩合(今は基準割引率および基準貸付金利、といいます)みたいなもんです。
・GDP
国内総生産ですね。3ヶ月ごとに発表されるのですが、速報値、改定値、確定値の順に発表されて、修正幅が大きいと市場は反応します。
・消費者物価指数(CPI)
最近のニューヨーク市場急落の引き金になったのがコレです。
・小売売上高
毎月発表されます。
・住宅着工件数
その名の通り建設を始めた住宅の件数です。景気の先行指標とされます。
何を気にしなければいけないかというと、この数字そのものよりも、その数字が「想定範囲内だったかどうか」です。
2月上旬、消費者物価指数(CPI)の発表後に株式市場が急落したのも、これが想定外の大きな上昇だったからなんですね。
予想と逆方向の結果だったり、予想した方向と同じでも予想より大きくブレるときなどは市場は反応しやすいです。
さしあたっては「今日はこの指標の発表があるんだな」程度で大丈夫でしょう。
アナリストコメントや株情報サイトで「今日発表の経済指標」として何が発表されるかだいたい出てきますから、それとニューヨーク市場の反応を一度検証してみるのもいいですね。
今日お話したことが実感できると思います。
さて、今日はこれで終わりましょうか。
では。